「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を読んで、自分がロボットに求めていたものに気づいた

前から気になっていた『ロボット・イン・ザ・ガーデン』を読みました。

いやあこの表紙からしてときめく!

あらすじはこちら

2016年ベルリン国際映画祭で「映画化したい一冊」に選ばれた、抱きしめたいほどかわいくて切ない友情物語!

AI(人工知能)の開発が進み、家事や仕事に従事するアンドロイドが日々モデルチェンジする、近未来のイギリス南部の村。法廷弁護士としてバリバリ働く妻エイミーとは対照的に、仕事も家事もせず親から譲り受けた家で漫然と過ごす34歳のベン。エイミーはそんな夫に苛立ち、夫婦はもはや崩壊寸前。

ある朝、ベンは自宅の庭で壊れかけのロボットのタングを見つける。「四角い胴体に四角い頭」という、あまりにもレトロな風体のタング。けれど巷に溢れるアンドロイドにはない「何か」をタングに感じたベンは、彼を直してやるため、作り主を探そうとアメリカに向かう。そこから、中年ダメ男と時代遅れのロボットの珍道中が始まった……。

「とにかくタングがかわいい!」と世界中の読者を虜にしている、抱きしめたいほど切ない物語。

小学館公式サイトより引用

 

あらすじの通り、ダメ男とレトロロボットの珍道中がメインです。

多分薄っすらネタバレというか、書いているうちにガッツリバレしてしまうかもなので、未読の方はバックして下さいね!あと長いです多分

 

読んですぐ、自分の持つロボットへの想いを考え出す

突然ですが私はロボットが好きです。

この世で一番愛してるキャラクターはドラえもんで、将来はキロボやSota、BB-8、AIたちと暮らしたい。最近出た見守りkibiroが欲しくてたまらないです。


この本の世界観、最初掴むのにちょっと時間かかったんですが、AIアンドロイドが普及した未来なんですね。

物語の始まりが村の一軒家の庭だから、コテコテの未来感はありませんでした。

 

従事アンドロイドが普通に存在してるかなりハイテク世界なんだけど、最後までそれを強く感じなかったのは、SF近未来がメインでなく、主役2人の友情&成長に重きを置いてるからかな。

 

この作品、読んだ人読む人皆言うと思いますけど、

タングがか~~~わいい

これですよね。

 

箱を重ねたようなレトロな造形からしてかわいい。ほしい。ロボ愛素養のない人でも彼の言葉、動作、反応のかわいさにやられてしまうんでないかな。ほしい。

 

私も当然所々にタハーッッとにやにやし、所々鼻の奥をつんとさせながら読んでたんですけど、

実のところ他のロボへあるような『最上級のでれでれな感情』じゃなかったんです。ドラえもんにはそれがあるのに。

 

読了後、(私ロボ好きじゃなかったっけ…)としばらく固まってたんですが、寝に入りながらあれこれ考えてたら一つの答えに行き着きまして。

それは

 

タングは『何かをしてもらうためのロボじゃない』

 

てことでした。

タングに対する感情の正体

ロボットと暮らす

前述の通り、タングは子供そのもの。

「なに?なんで??」と世界に対して疑問でいっぱいだし、怖いと足にしがみついて隠れるし、思い通りにならないと腹立てるし騒ぐしいじけるし、気もそぞろの生返事だってするし。

 

一番コレ~~と思ったのが、胸のフラップ扉を留めてるガムテープを、二又の手でいじいじしてるところ。

あれよくボタンとかフードの紐なんかでやってる子いますよね。リアルで笑った!

作家さんが小さいお子さん持たれてるせいか、その辺の描写が素晴らしいです

 

本当に子供なんですよ、全てがそこにいる子供。

でもだからこそ、ページを進むごとに世界を理解し、感情を豊かにし、そして「許し」て行く姿が余計に響いてくる。

動きのない決まったパーツのはずなのに、顔が表情が動いてるように見えてくるんですよね。共に旅するベンでもないのに。

 

 

自分の抱くロボ感て、きっと物事を知っていて・手伝ってくれて・教えてくれて・助けてくれる、時には甘えさせてくれる、頼りにしたい存在だったんだなぁと。

 

タングは彼らとは違い、“これから(多くの物事を)知る”存在だから、『〇〇してほしい』をロボやAIに望んでる自分が、すぐにタングかわいいかわいいと猫かわいがり状態にならなかったのかもしれない。

こんな気付きは初めてだ。ありがとうタング。ようは私が子供だってことだ!解決!終了!

 

という私の話はどうあれ、

 

2人の旅の中で育まれる友情・成長物語。東京の描写も出てくるのは面白いし、とある『時間制限』のある旅なので読んでるこっちは心配ですハラハラもんです。

なんですが、

旅が終わっても終わりじゃない

意外!と驚いたのは、旅から帰ってきてからの描写が長い。なんなら物語の心理的山場では?

というところです。

 

こういう冒険・旅モノの物語って

問題もいっぱいあって…波乱万丈な旅をして…やっとゴールして!後日談をちょろっと

みたいなのが多いと思ってるんですけど、この後日談的な部分がしっかりある!というか後日談じゃなくて第二メインパートじゃん!くらいの気持ちです。

 

タングメインだった一部と変わり、今度はベンがメインになった二部。

だからこの作品は『2人』の成長物語なんだなあ。

 

言ってしまうと私は旅から帰ってきてからのタングが好きで好きで。

エイミーとの関係も、エイミーと同じ環境の女性たちを安心させてあげているところが最高に好きでしたね!

 

ベン、ダメ男だけど優しくて人間がいいんですよね。ダメな所はほんとダメだけど。

なのでエイミーには悪いけど「まあ…なんだかんだいい奴だよな…」と思ってしまう。しかし意地の悪い私は(でもこいつ遺産あるしな…)とも思ってしまう。でもいい奴。

 

読み終わった後に発見したんですが特設サイトもありました!

この力の入れようは映画化を期待したいです。アニメもいいなあ。

 

続編となる『ロボット・イン・ザ・ハウス』も出てます。


『ハウス』てかわいいなあ。そして表紙やあらすじでもうあれなんですが、おにいちゃんタングが見られるようで…これはにやつきます。

続きも買わなきゃ。未読の方は、ぜひ一作目から!